~モンゴルの歴史と未来をつなぐ都市再生プロジェクト~
2023年12月29日、「民族解放革命111周年」を記念して、モンゴル政府が旧都カラコルムの再建を正式に決定する大統領令が発令されました。署名式は政府庁舎の記念ホールで行われ、オフナー・フレルスフ大統領およびロブサンナムスライ・オユンエルデネ首相が署名。大統領府長官が再建の趣旨を読み上げ、モンゴル国全体に向けた歴史的なメッセージとなりました。
この大統領令では、国民の健康と安全な生活環境の整備、都市機能の分散、歴史文化の復元、そしてユネスコ世界遺産「オルホン渓谷の文化的景観」との共生を意識した新たな都市設計の推進が掲げられています。具体的には、オルホン渓谷周辺を行政・文化・教育・観光の複合拠点とする環境配慮型の都市モデルとして整備する構想のほか、歴史・文化を踏まえた都市マスタープランの策定や、道路・エネルギー・給水などのインフラ整備に関するフィジビリティ・スタディの実施も進められる予定です。また、新都市に法的な地位を付与するための制度改正も視野に入れた取り組みが計画されています。

首都機能の一部移転や、バランスの取れた国土開発を見据えたこの再建計画は、歴史都市の復元と未来志向の都市設計が融合した、国家的な都市再生プロジェクトです。旧都カラコルムは、1220年にチンギス・ハーンの命により建設され、13世紀にはモンゴル帝国の政治・経済・文化の中心地として栄えました。現在のウブルハンガイ県ハラホリン郡にその遺構が残されており、1971年に保護区域として指定。1995~1997年にはユネスコと日本政府の協力による文化財保護プロジェクトも実施されています。
当会としても、本プロジェクトの今後の展開を見守りつつ、日・モンゴル間の歴史的・文化的なつながりをより深めていけるよう努めてまいります。