高市首相とモンゴルのオチラル首相が首脳会談
― 経済協力・投資環境の整備に向けて連携を強化 ―
2026年9月29日、高市早苗内閣総理大臣は、日本を公式訪問中のニャムオソル・オチラル・モンゴル首相と首脳会談を行いました。会談に続いてワーキング・ディナーも開催され、両国の経済協力や投資環境の整備、安全保障、エネルギーなど、幅広い分野について意見が交わされました。
今回の訪問は、モンゴル首相による訪日として8年ぶりとなります。また、オチラル首相の就任後初となる二国間訪問であり、2027年に迎える日本とモンゴルの外交関係樹立55周年を前に、両国の協力関係をさらに深める機会となりました。
本記事では、首脳会談の主な内容と、今後の日本・モンゴル間の経済交流や投資環境に関する動向をご紹介します。
▪️日本とモンゴル、「特別な戦略的パートナーシップ」をさらに強化
首脳会談では、高市首相がオチラル首相の訪日を歓迎し、日本がモンゴルの最も重要な「第三の隣国」として、同国の自律性と強靱性を支えていく考えを表明しました。
これに対し、オチラル首相は、日本が平和国家として国際社会の平和と安定に長年貢献してきたことを高く評価するとともに、2022年に発表された首脳共同声明の内容を着実に実施していく意向を示しました。
両首脳は、「平和と繁栄のための特別な戦略的パートナーシップ」の下、これまでの協力関係をさらに発展させ、安全保障や人工知能(AI)などの新たな分野についても協議を進めていくことで一致しました。
また、2027年の外交関係樹立55周年に向けて、経済分野をはじめとする協力の進捗を確認し、両国間の連携を一層強化していく方針を共有しました。
▪️経済協力と投資環境の整備に向けた取り組み
今回の会談では、近年のモンゴル経済の成長を踏まえ、日本とモンゴルの経済協力をさらに深化させるための具体的な取り組みについても協議が行われました。
両首脳は、モンゴルにおけるビジネス環境の整備を促進するため、2026年11月に予定されている官民合同協議会を活用し、経済分野での議論を深めていくことで一致しました。
また、両国間の租税条約の締結に向けた交渉を早期に開始することや、社会保障協定に関する予備協議を実施することでも一致しました。
さらに、オチラル首相から日本貿易振興機構(JETRO)のモンゴル事務所開設について要望があり、高市首相は開設に向けて協力する考えを示しました。
これらの取り組みは、今後の日本企業によるモンゴルでの事業展開や、両国間の投資・ビジネス交流を考えるうえでも注目されます。
▪️チンギス・ハーン国際空港の拡張で協力
首脳会談に合わせて、モンゴルのチンギス・ハーン国際空港の拡張に関する円借款の交換公文への署名・交換が行われました。
同空港は、日本企業が運営に参画しているモンゴルの主要な国際空港であり、日本とモンゴルを結ぶ航空交通の重要な拠点となっています。
両首脳は、空港拡張事業における協力の重要性を確認しました。
空港の拡張事業は、観光や運輸・物流など幅広い分野への波及効果が期待されており、日本企業のモンゴルとの貿易やビジネスの促進にも資するものとされています。
また、両首脳は「パワー・アジア」の下、石油備蓄や再生可能エネルギー関連分野においても積極的に協力していくことで一致しました。
▪️モンゴル首相、在日モンゴル人との懇談で経済政策にも言及
9月30日、オチラル首相は日本公式訪問の一環として、在日モンゴル人との懇談を行いました。
モンゴル国営モンツァメ通信社によると、懇談では、日本とモンゴルの経済関係や投資環境の整備、教育分野での協力などについて説明が行われました。
オチラル首相は、投資家にとって安定した事業環境が重要であるとの認識を示し、2016年に発効した日本・モンゴル経済連携協定(EPA)の経済的効果をさらに高めるため、同協定の見直しに取り組む意向を表明しました。
また、国有企業のコーポレートガバナンス改善や投資基盤の整備についても言及しました。
その一環として、資産運用大手BlackRockとの協力を進めていることや、今後、国有企業の新規株式公開(IPO)を推進するとともに、国際的な企業が経営を担う仕組みへの移行を目指す方針が紹介されました。
▪️教育・人材育成分野でも協力を推進
今回の公式訪問では、経済分野に加えて、教育や人材育成に関する取り組みについても言及されました。
高市首相は、2026年から「日本語パートナーズ」の長期派遣を実施する旨を表明し、オチラル首相から謝意が示されました。
また、モンツァメ通信社によると、オチラル首相は在日モンゴル人との懇談において、両国関係における最大の財産は「人」であるとの認識を示しました。
そのうえで、「工学系高等教育支援事業(MJEED)」、いわゆる「1,000人のエンジニア」プロジェクトについて、次の段階の実施に取り組む意向を明らかにしました。
こうした教育・人材育成分野での協力は、両国間の長期的な交流を支える取り組みの一つとなっています。
▪️外交関係樹立55周年に向けて
日本とモンゴルは、2027年に外交関係樹立55周年を迎えます。
今回の首脳会談では、経済協力や投資環境の整備に加え、安全保障、AI、エネルギーなど幅広い分野で協力を進めていく方針が確認されました。
また、両首脳は、国連を含む国際社会における協力や、地域の平和と安定に向けた連携を一層強化していくことで一致しました。
今後は、官民合同協議会での議論や、租税条約・社会保障協定に関する協議の進展など、具体的な取り組みが注目されます。
▪️日本モンゴル経済同友会の取り組み
日本モンゴル経済同友会では、日本企業のモンゴル進出支援や、モンゴル企業とのビジネスマッチング、投資交流の促進に取り組んでいます。
今回の首脳会談で確認された経済協力の強化や投資環境の整備に向けた動きは、今後の日本・モンゴル間のビジネス交流においても重要なテーマとなります。
当会では、今後も両国の経済動向や投資環境に関する情報を継続的に発信し、日本とモンゴルの経済交流のさらなる発展に貢献してまいります。
参考資料
- 外務省「日・モンゴル首脳会談及びワーキング・ディナー」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/mn/pageit_000001_03235.html - モンゴル国営モンツァメ通信社「オチラル首相、在日モンゴル人と懇談」
https://www.montsame.mn/jp/read/411248
