2. モンゴルの物価と金融はどう変化しているのか?
― インフレ、財政・金融の最新動向 ―
日本モンゴル経済同友会では、2026年5月22日に開催された「TORGONY ZAM – Mongolian Investment Summit 2026」事前説明会において、藤本和久氏(当時・日本モンゴル経済同友会理事長)が「モンゴル経済概況」をテーマに講演を行いました。
第1回では、2025年のGDP成長率と2026年の経済見通しについてご紹介しました。
第2回となる本記事では、講演内容をもとに、モンゴルの物価・インフレ動向に加え、財政・金融の現状についてご紹介します。
■ インフレ率の推移と今後の見通し
講演では、2023年以降のインフレ率の推移と、品目別の物価動向について説明が行われました。品目別の前年同月比では、食料品が14.1%、教育が12.8%、レストラン・ホテルが9.9%、アルコール・たばこが8.1%、家具・日用品が7.2%、娯楽が6.6%となりました。また、ウランバートル市内における一部商品の価格動向についても紹介されました。
特に、今後のインフレ見通しについては、教員や医療従事者の賃上げによる需要側のインフレ圧力が、インフレ率を押し上げる要因となる可能性があると説明されました。
さらに、中東における紛争の激化も、供給主導型インフレのリスク要因として挙げられました。燃料や工業原料の世界的な供給減少や供給不足、国際原油価格の上昇が、燃料費や輸送費を通じて物価高に影響する可能性があると説明されました。
■ 財政・金融
講演では、モンゴルの財政・金融の現状について説明が行われました。
2026年度の国家予算は、歳入31.6兆MNT、歳出32.98兆MNTで承認され、1.4兆MNTの赤字が見込まれています。また、2026年1〜3月の均衡歳入は前年同期比2.5%増の6兆3,028億トゥグルク、歳出および返済は同17.9%増の7兆6,634億トゥグルクとなり、財政収支は1兆3,606億トゥグルクの赤字となりました。赤字幅は前年同期の3.9倍に拡大しました。
金融分野では、2026年3月末時点の貸付残高(速報値)は前年同期比16.6%増(前月比2.5%増)の45兆2,964億トゥグルクとなりました。融資総額の内訳は、個人向け融資が58.2%、企業向け融資が37.1%を占めています。
また、2026年3月末時点の不良債権は融資総額の5.1%に当たる2兆3,171億MNTとなり、前年同月比13.1%増となりました。要注意債権は1兆5,578億MNTで、融資総額の3.4%を占め、前年同月比1.2%増となっています。
貸出と預金の金利については、2026年2月現在、国内通貨建ての貸出と預金の金利差は5.4%となり、前年から0.4ポイント縮小しました。これは、加重平均預金金利が0.5ポイント上昇し11.8%となったことが主な要因とされています。一方、外貨建ての貸出と預金の金利差は6.7%に拡大し、外貨建て貸出金利が0.7ポイント上昇して10.12%となったことが主な要因と説明されました。
■ モンゴル経済の最新動向を継続して発信
日本モンゴル経済同友会では、今後もモンゴル経済や投資環境に関する最新情報を継続的に発信してまいります。
次回は、貿易統計や外貨準備高、不動産市場、賃金水準など、モンゴル経済の最新動向についてご紹介します。